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【熊谷6人殺害・国賠訴訟】県警証言に“矛盾”原告指摘の争点と論拠◆日曜スクープ◆(2023年1月22日)

【熊谷6人殺害・国賠訴訟】県警証言に“矛盾”原告指摘の争点と論拠◆日曜スクープ◆(2023年1月22日)

 2015年9月、埼玉県熊谷市で起きた熊谷6人殺害事件。妻と2人の子どもの命を奪われた遺族の加藤裕希さんは、事件発生当時における埼玉県警の注意喚起が不十分だったとして、埼玉県を相手取り、国家賠償を求める訴えを起こした。その控訴審の第2回口頭弁論が1月18日、東京高裁で開かれた。

 加藤さん宅での事件発生前の埼玉県警の注意喚起を巡り、加藤さんは問題を指摘している。当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していたが、ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は、明らかにしていなかった。

 22年4月、1審のさいたま地裁は、「加藤さんの自宅に襲撃の危険が切迫していたとは認められず、埼玉県警の対応には問題がなかった」とし、加藤さんの訴えを退けた。18日の第2回口頭弁論で、加藤さんがあらためて問題視したのは、埼玉県警の当時の幹部が行った証言。1審の証人尋問で、同幹部は、「最初の殺人事件は、連続発生すると判断しなかった」と述べた上で、「屋外での通り魔事件であれば、同じ事件が再び起きる連続発生が予見できる。屋内で発生した事件は、怨恨などの可能性があるから、その後に連続して発生する事件は予見できない」と証言をした。

 原告の代理人・高橋正人弁護士は、去年12月に発生した埼玉県飯能市で起きた殺人事件のケースを挙げ、埼玉県警の対応に疑問を示した。飯能市の事件では、県警は、60代の夫婦と30代の娘の3人が自宅敷地内で遺体が発見されてから、1時間以内に防災無線やSNSなどで警戒を呼びかけていた。

 高橋弁護士は、「飯能市の事件は屋内で発生し、当初から犯人がほぼ想定された。だが、埼玉県警は連続発生を予見し、屋外に出ないよう防災無線で呼び掛けた」と指摘し、屋内事件は連続発生しないという同幹部の証言内容と県警対応との間に生じる矛盾を強調した。次回の口頭弁論は今年3月10日に開かれる。

■埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は18年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、控訴審の高裁判決が確定した。

★アンカー:片山善博(大正大学地域構想研究所所長)
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